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染料と顔料の違いとは?DIY塗装の使い分けのポイントも

塗装・色 2024.11.13

さまざまな色の塗料と刷毛を並べた様子 北欧の森

自宅のDIYをする際、どの塗料を使えば良いのか迷う方も多いのではないでしょうか。色付けする素材には、大きく分けて染料と顔料の2種類があります。2つはそれぞれに異なる特徴を持っており、塗装の用途やイメージする仕上がりに適したものを選ぶことが大切です。

この記事では、染料と顔料の違いとそれぞれの強み・弱みを解説するとともに、DIY塗装で使い分けるにあたってのポイントを紹介します。

染料と顔料の違いとは?

染料と顔料はどちらも色付けに使われる素材ですが、異なる特徴を持っています。両者の特徴を簡単に比較してみましょう。

染料顔料
溶性水や油などの溶剤に溶ける溶けない(不溶性)
色の付き方素材に染み込んで色を付ける素材の表面に付着して色を付ける
匂い種類によって独特の匂いがあるほぼ無臭
(溶剤や添加剤の種類によって匂いを感じる場合もあり)
耐久性耐光性、耐水性が低い耐光性、耐水性に優れる
費用顔料に比べて安価比較的高価なものが多い
主な用途衣類、サインペン、
インクジェットプリンター
インク、食品着色料 など
外壁塗料、絵の具、スプレー缶、
レーザープリンターインク、化粧品 など

違いとして特に大きいのが、色の付き方です。素材に染み込む染料と、素材の表面に付着する顔料という違いが、用途の違いにもつながっています。

染料の3つの特徴

水中で青の染料が広がるイメージ 北欧の森

ここからは、染料と顔料それぞれの特徴を詳しくみていきます。まずは、染料の強みと弱みを紹介します。

発色が鮮やかで透明感がある

染料は光を通す性質があるため、明るくクリアな発色になるのが魅力です。複数の色を重ね塗りしても色がにごりにくいので、美しいグラデーションを表現することも可能。まったく異なる色を組み合わせたり、濃淡の違いで塗り分けたりすれば、色による表現の幅を広げられるでしょう。

また、色付けするものの表面の質感を損なわないため、布地や木目など、素材の本来持つ風合いを生かすこともできます。

素材に染み込むため、通気性を損なわない

染料は分子レベルで素材の内部まで染み込むため、素材にある細かなすき間を維持することができます。そのため、色付けしても通気性を損ないません。適度な風通しが求められる衣服の色付けに染料が使われるのは、これが大きな理由です。仮に衣服を顔料で色付けしたとすれば、風を通さず、着心地の悪いものになってしまうでしょう。

顔料と比べて色あせしやすい

染料は上記のような魅力がある反面、紫外線や水、摩擦などの影響を受けやすいのが弱みです。色付けしてから時間がたつにつれて、色あせたり変色したりすることも少なくありません。身近な例でいうと、衣類を洗濯したときに色落ちすることがあるのはこの性質の影響です。

加えて、日光や雨風にさらされる屋外で染料を使用する場合、どうしても色あせしやすくなります。

顔料の3つの特徴

紫、青、赤など色とりどりの粉末顔料を並べた様子 北欧の森

続いて、顔料の強み・弱みを順番にみていきましょう。

耐光性、耐水性に優れている

耐光性とは、太陽光などに含まれる紫外線に対する耐性のこと。耐光性に優れているものは、紫外線を受けても性質が変わりにくいといえます。

顔料は、染料に比べて耐光性や耐水性に優れているため、紫外線を多く含む日光や雨風にさらされる屋外で使用しても、変色や色あせを起こしにくいのが強みです。このことから、外壁塗装や自動車塗装の塗料には顔料が用いられます。

素材をカバーする力に優れている

顔料は素材の表面に乗っかって色を表現するので、素材がもともと持つ色や風合いを隠すことができます。質感を残さずにカラーをはっきりと見せたい場合には、顔料での色付けが向いています。反対に、素材が持つ表情や風合いを残したい場合には不向きです。

染料に比べて高価なものが多い

顔料の主な原料は鉱物や金属などです。使われる素材によっては高価なものが多いうえ、製造工程が複雑で、高度な技術が求められます。そのため、顔料は染料に比べてコストがかかりやすい点もネックです。耐久性が高いとはいえ、塗り直しが必要になったときのコストも必然的に高くなります。

DIY塗装での顔料と染料の使い分けポイント

ダークブラウンの木材に白い塗料で色付けするイメージ 北欧の森

自宅の内装や家具をDIYで塗装する場合には、仕上がりのイメージや求める耐久性のレベルによって、顔料系塗料と染料系塗料を使い分ける必要があります。また、DIYにおいては、作業性や安全性を考慮した塗料選びも大切です。ここでは、どのようなケースでどちらの塗料が向いているのか、具体的に紹介します。

耐久性を重視するなら「顔料」

顔料は耐久性の高さが魅力です。そのため、耐光性や耐水性が求められる部分の色付けは、顔料系塗料を選ぶとよいでしょう。例えば、日常的に摩擦や衝撃の影響を受ける床やテーブル、アウトドアで使用する家具や小物などの塗装には顔料が最適です。

塗料は原料によってさまざまな種類がありますが、顔料系塗料に分類されるのは、ウレタン塗料アクリル塗料などです。これらの塗料は、外壁・屋根塗装の塗料としても広く用いられています。

発色にこだわりたいなら「染料」

染料系塗料が向いているのは、鮮やかな発色を求めているときや素材の風合いを残したいときです。自宅のDIYであれば、はしごや階段、フローリング、羽目板の木目を生かしたい場合、染料系塗料を選ぶのがよいでしょう。また、家具をアンティーク調に仕上げたいときなども染料系塗料の出番です。染料は顔料に比べて耐水性や耐光性が劣るため、室内での使用が基本となります。

一般的な塗料で染料系に分類されるのは、オイルステイン水性ステインなどです。

目的に合った塗料で自分好みの塗装を

耐光性や耐水性に優れていて屋外でも使用できる顔料と、発色が鮮やかで素材本来の風合いを生かすことができる染料。それぞれに異なる強みと弱みがあるため、色付けしたいものの種類や目的に合わせて、適した塗料を選ぶことが大切です。

顔料と染料の特徴を理解したうえで上手に使い分けて、イメージどおりのDIY塗装を叶えましょう。